終わる恋の白さ
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ゆきがふりました
かぜにのってどこまでもどこまでも
ながれてゆくのです
僕はそのとき貴女の部屋の前にいました
何度もインターフォンを押そうと
指を近づけてみたのですが
どうしても押せないのです
つもるゆきだとおもいました
どうせならほんとうにどこまでもながれてゆけばいい
とおくまで どこまでもとおくまで
僕のコートが白くなってゆくのが解りました
それ程僕は長いことここに居たのです
貴女がこの中にいないのを知っていて
僕はインターフォンを押そうとしています
だれもふこうにならぬように
このゆきがすべてをけしてしまえばいい
すべてまっしろに なってしまえば それでいい
貴女がこの部屋に帰って来る事は
もう二度とないと知っていて――――
ふりつづくゆきのなか
つめたいかぜのまう このせかいで
……僕の瞳から 静かに涙が零れます……
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