Gray Sand

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貴方が私の目の前から消えて
ひと夏が過ぎようとしています


貴方に会いに行くために
うんと財布を節約して
ひまを見つけて電車に乗って

貴方は私の前では決して
笑い顔を見せてはくれませんでしたね
そして
泣き顔も見せなかった

いつも仏頂面
だけどその横顔が とても綺麗で

私はそのたびに
貴方の強さが羨ましかった
それは嫉妬なんていう気持ちではなくて


多分、――――



だけど
貴方が消えてから
私はよく空を仰ぐようになりました

電車にも乗らなくなりました
財布の紐を締めることもなくなりました

こんな終わりが待っているなんて
思ってもみなかった

いっそ出会わないほうがよかった?

だけど
貴方のその背の高さも
黒にこだわったその服も
短く切ったその髪も
ひとつひとつの言葉までも

私の想いを駆り立てるに十分だったのです

私は貴方に何も伝えていない
なにひとつ 想いの片端も
伝えてはいないのに


もう一度逢えますか?


だけど貴方は
きっとまた
私の前から 消えてしまうのでしょうね


まるですべてが 風に吹かれてしまうように


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